
寄生という言葉は一方的に利益を取られる場合を言う。ノミは猫に何も恩恵を与えない。血を吸われかゆみと病気をもらい、ただただ迷惑なだけの存在である。
猫はノミにどのように抵抗してきたかというと、舌のブラシで捕まえて飲み込んでしまう。ひたすらこれをやる。これ以外に抵抗する術を猫は知らないからだ。ウリザネ条虫という奴はこの戦いに乗じて猫の体に潜り込む。自分の卵をノミに食わせ、そのノミが猫に食われることで最終宿主に寄生する。ノミと猫の関係を知り抜いたしたたかな寄生虫といえる。
猫にノミが大量寄生しているとき、まず洗い落とすことを考える。実際にやってみるとシャンプーだけではノミがきれいに落ちないことがわかる。多くのノミが皮膚に食いついたまま気絶している。「ノミ取り櫛」で取れるのは大きなノミだけだ。乾くと後でノミはまた生き返る。
ではノミを殺してから洗う方がよく落ちるだろうと考える。「蚤取粉」とシャンプーを併用すればいい。そうやって「ノミ取りシャンプー」というものができてくる。
猫ノミ戦記に特筆すべき発明がいくつかある。
昭和50年代に登場した「バポナドッグバンド」 最初のノミ取り首輪だ。劇物扱いの強力な殺虫ガスを出すタイプで、とにかく効き目が強力だった。初期のノミ取り首輪はみな犬用として販売されている。犬は屋外で飼われているから人に対する影響が少ないだろうという理由だった。猫への使用は公認されていなかったが、現場では小さく切って猫にも使われていた。ノミはおもしろいように死んでボトボト落ちた。しかし生き残ったノミの子孫がやがて薬剤耐性を獲得してくるのである。
平成9年ごろに「プログラム」と「フロントライン」が登場してくる。「プログラム」は内服してノミの繁殖を止めるというアイディアで、薬剤耐性の問題をクリアした。ノミ対策初めてのIGR製剤である。「フロントライン」は最初スプレータイプで出た。安全性と持続性と殺虫力においてとにかく群を抜いていた。あとでスポットタイプが出てくるが、このアイディアはフロントラインが最初ではない。しかし信頼度の高い薬剤との組み合わせでノミ駆除薬の売り上げ独走を続けている。
ノミの薬剤耐性問題はいずれ来る。各メーカーはノミの繁殖を止めるIGR製剤と組み合わせた新製品を出して次の布石を打つ。
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